空の果て星の息吹

SNOW AGAIN ―― スノーアゲイン

ユイとの外出の日になった天気を心配したけど雪も降ってなく、冬場特有のくすんだ空色ではあったが、太陽も覗き、あたたかかった

ユイはかなり楽しみにしていたらしい。


シンと涼子にも声をかけたが二人とも急用で来れなかったので、ユイと二人で学園内を案内する予定だ。


車でユイを迎えに行き、黒いドレスの様なフリルの着いた服を着ていた。
このファッションは10年くらい前に流行ったゴスロリというスタイルの様で、最近再流行したらしい。


普段のユイと違い、少し大人っぽい感じがした。
ユイは恥ずかしそうに笑いながら、病院の玄関のベンチに西澤先生と座って待っていた。


服は同じ病室の友達に借りたらしい。


ユイを乗せて、学園まで行く、ユイは車中からの景色を見ながら、何となく来た気がするとつぶやいた。


この景色が記憶を甦らせる何かを引き出したかもしるないと思った。


西澤先生に言われた心拍計や顔色を伺いながら、平然を装う。


試験休み中の学園は静かであまり生徒は居なかったので、回りやすかった。


教室や訓練装機プール、カフェテラス等、歩いたが、ユイは思い出さなかった。

色々、回ってユイが記憶を失ったシャトル格納庫に迎う途中に、陸上装機の円周風景が見えた。


ユイは陸上装機の迷彩色を見ると、急に心拍数があがりはじめた。


僕は先生に連絡をしようとするが、ユイはそれを止めた。


『何か・・・わかりそうだから、待って』


ユイは身体を揺さぶりながら胸を押さえる。


『多分・・記憶が甦るのを・・・拒んでいるから・・・』


息を切らせながら、ユイはシャトル格納庫に案内して欲しいとせがんだ。


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