空の果て星の息吹
扉を開けると、ユイと数人の男女が暗幕に蛍光塗料の大小の星形のシールを貼っていた。


『遅れました・・手伝いに来た遠野です・・』


挨拶をしながら入ると、早速作業の説明を聞いて手伝い始めた。

ユイと僕は蛍光塗料の塗られた星を暗幕に付けていく作業で、作業しながらいつの間にか星について語り合っていた。


ケンタウルスやサジタリウス、星座表を見ながら二人で神話の話を語り合った。

『かって、科学や宇宙という概念が無かった時代には人は様々な英雄や伝説を星を見て世界を連想していたに違いないね・・今と違いテレビも映画も無い時代』

何となく、今まで心の中で自己完結していた、星や宇宙の想いを、話すとユイは返してくれる。
こんなに話を返してくれるとは思わなかった。


『今の時代は、見えない事や知らないことを探求していった事で、神話や寓話の物語と星との関連性を消していってしまった、月は岩と砂だらけ、兎なんて居ないからね』


『そうだね、科学は確かに素晴らしいけど・・・・なんだかそういう古き良き物も無くなるのは悲しいね』

ユイと話をすると、言葉と心が直結するように、話してくれと言ってるようで、自然と台詞が出てくるのは何故だろう?


趣味を語れる共通の存在だからだろうか?


学祭前は学校の閉校時間も遅くなり、9時になる。
久しぶりに勉強を忘れて話に没頭した。


『遠野くん、おかげで、かなり進んだよ沢山話もできたし・・ありがとう』 


ユイを初めクラスメートが礼をしたので、妙に照れてしまう。


ユイともう少し話したい気分だった。


『月夜野さん、もし良かったら帰りませんか?』


ユイはいつものにこやかな笑顔を浮かべた。


『ごめんね、今日は少し用があるから、、でも、私も話したいから、今度送ってください。とりあえずメール交換しませんか?』 


ユイと帰れなくなったけどその代わりに携帯アドレスを交換した。

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