空の果て星の息吹

楽園への道

シャトルでエデンに向かう日が来た。


天気予報どおりに晴天で、白銀のシャトルは発射台へ大型のトレーラーでゆっくりと運ばれる。


各国のマスコミが集まり、また見物客も沢山集まっていた。


僕ら、研修メンバーは学園の祭事用の青いジャケットを着て、記者会見が開かれる会議室に隣接する控室に居た。


緊張して、唇が乾き、足は何故か震えている、緊張してるのがわかった。


涼子は長い髪をバッサリと切り短くなっていた。


涼子なりの決意の表れだった、宇宙に行くと無重力状態下で髪が長いと何かと不便だからた。


『緊張するよ・・ソラくん何だか私が私で無いみたい・・』


普段は落ち着いている涼子が緊張しているのは、今まであまり無く、貴重ではあった。


『僕も同じだから・・唇がガサガサ、まるで干上がった湖の底みたいに』


涼子は僕の口元を見て笑った。


北見も、俊英も、佐藤景も強ばった表情で皆、緊張していた。


部屋のモニターにはシャトルの整備状況が映し出されていた。


シャトルは発射台に固定され、コンテナが格納されたコンテナの中身は、幸福1号の運ぶ予定だったエデン改造工事の部品や、ステーションの研究者の食料や衛生品等である。


やがて、大柄でタヌキの様な愛敬のある顔の理事長が入ってきた。


記者会見の準備が出来たからと僕達を連れて、会場に向かった。


学園の校章の入ったスクリーンをバックに僕らは50人くらい入る会議室の雛壇に座らされた。


各国の記者の姿に圧倒されカメラの台数にも驚いた。

席に着いて、長い時間を感じた。


記者会見が始まり、記者の質問に理事長を初め、技術者が答える。


高田機長が、今回のシャトルの成功が今後のエデン計画に占める割合等も話した

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