空の果て星の息吹
『もし何かあったら、助けにいってやるから、すぐにメールしな』


シンが笑いながら肩を叩いた、戒音に笑顔で見送られ最後にユイの前に行く。


『ユイ・・約束は守るから・・・君の目に代わり空に上がるよ、だから、待っていて』


ユイは涙ぐみながら


『うん・・・遠野くん、帰ってきたら、その答えを話すから絶対に戻るんだからね』


ユイは指切りの為に、僕に指を出し指切りをした。


『絶対に帰るように、破ったら許さないんだから』


子供の様に頬を膨らましたので、緊張が解けて笑ったので、ユイも舌をだして答えた。


十畳くらいのコクッピット部の壁は計器類で埋め尽くされていて、席は隣と殆ど間隔が無く、シートベルトを付け何回も確かめる。


機長やオペレーターが座りコックピットの扉が閉まりクレーンで運ばれる。


クレーンはやがて止まり、今度は前面を上に回転させる。


揺れながら、回転するとシート後方に重力を感じる。

上というか前に機長を初めとするクルーの席が見える

シャトルの機体へコックピットが挿入される。


機体とコックピットが接続され、計器類の電源が自動起動して、計器類の確認を始めた。


機体のドッキングは問題なく、全ての計器に異状がない事をクルーが確認し、官制室へ通信をした。


やがて、カウントダウンを開始する連絡が入る。


コックピット前面のフロントシャッターが上がると窓が見え、澄んだ青空が姿を現した。


極度の緊張から喉が乾く。手が震える、重力が背中にまるで、鉛の袋を担いでいる様に感じる。
地球が、まるで僕らを放したくないように思えた。


『カウントダウン・・・OK?』

『こちら官制室、了解します』


『カウントダウン開始する・・・・10・・・9・・・8・・・7・・6・・5・・4・・3・・2・1』 


『0』 


爆音が響き渡り、体に重力が急激にかかる、体が地球に引っ張られる・・・胃や脊髄が地球に持ち去られる感覚を感じる。


揺れながら、視界に入るのは空の青に限りなく近づく光景だった。


体が徐々に軽く感じる、重力の影響から解放される。


< 166 / 216 >

この作品をシェア

pagetop