空の果て星の息吹

手紙の行方

日々、研修に終われて、無重力に体が慣れてきた。


ユイとはメールのやりとりをした。
地球の姿や、エデンの様々な風景を写真で送る。


研修に来てもう半月経とうとした時、ユイから預かった手紙を幹也に渡してほしいとメールで言われた。


学園を離れる時に預かった手紙であった。
アナログ式の気持ちの詰まった手紙を僕は温めていたのだ。


二十世紀末に大量廃棄された人工衛星のデブリ除去作業を終えた後に、幹也に話し時間を作ってもらった。

幹也は何となく、わかっていたようで手紙の話をすると、それがユイが自分に宛てたものだとわかったみたいだった。


ユイの手紙を幹也に渡す時に、歯痒い気持ちになりながら、どうしょうもなく重い気持ちが入り交じる。


幹也は手紙を受け取るとそれを目の前で開く。
帰ろうとする、僕を止めて

『遠野くんは、此処に居てほしい・・・多分、これは僕に宛てた君へのメッセージだから・・・』


どことなく哀しげな表情を浮かべた。


幹也は読み終わると、晴れ晴れとした表情で僕を見た

『遠野くんに話さなければいけない事がある』


『はい・・』


緊張した空気が張るのがわかる。


『僕は君達が地球に戻る頃、火星再開発本部に約300日をかけて、向かう、だからユイはどうしても、僕に逢いたくて、選抜にこだわったんだ・・』


『だから・・あんなに諦めきれなくて・・』


『でも、この手紙には僕に君をギリギリまでサポートして欲しいと書いてあったよ・・』


『僕とユイは小さい頃からずっと同じ時間を過ごしてきた、これからは過ごせなくなる、それはお互いにわかっていて、ユイの言葉を聞いて保留にしていた火星行きを決心した。』


『だから、君には僕の変わりにユイを守ってほしい・・・・勝手だと思うが・・・・心を失ったユイを戻した君にしか頼めないから』 

『棚橋先輩・・・僕は貴方の代わりにはなれない、ただ、僕成りに先輩の気持ちをくんでなら・・・守れます・・・ユイさんの夢と僕ね夢を・・・』


幹也は笑顔を浮かべると肩を叩いた。

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