空の果て星の息吹

託した約束

官制室から投降した幹也と北見と、4名のオペレーターは別室で隔離をする為に髭を蓄えた強靱な身体の機械工学担当の黒人のマルカレが連れ出した。


僕と涼子、マクガイア施設長と白人の若いオペレーターのセリーヌとレティシアは人質とし残された。


かっての朱鷺のクルーであった温和そうな青年の山本が鋭い目付きで銃を僕らに突き付けて牽制をしている

オロチ指示の元、各ブロックの状況を確認する。


暫くすると、景がマルカレにおぶられて戻ってきた。

景は暫らくは力が抜けた感じだったが、オロチの顔を見て、鋭い顔に戻った。


エデンは今や、テロリストに占拠されていた。
ただし、彼等にとって誤算だったのは、衛星を破壊する為の、高出力レーザー砲が今だに使えない状況である事だった。


デブリハザードを起こすには、エデン破壊だけでは足りないのだ。


俊英は材質工学のエキスパートであり、エデン職員を脅せばレーザー砲の修復は時間の問題だ。


涼子は震えていて、綺麗な整った顔立ちは、恐怖に歪んでいた。


手を握り、少しでも安心させる、他の二人の女性にも小声で、涼子から、心配するなと話してもらった。


マクガイア施設長は威厳を無くして、茫然自失としていた。


幹也と北見と離れてしまい連絡が取れない。
彼等なら何か策をしかけたかもしれないが・・
今となっては、どうしょうもない。


オロチに撃たれた、女性オペレーターの頭部には穴が開き、血の臭いが鼻を突く

つい数時間前は、笑い逢えたのに、今は物言わぬ肉片へと変わっていた。


死と隣り合わせであった。

オロチは官制室に掛かってくる各国のホットラインに答えていた。


『我々の目的は金ではない・・・万が一、核での攻撃を検討しているなら、こちらも報復をする。高出力レーザーなら例えミサイルが来ても撃ち落とす、ミサイル情報を元に破壊できるからな』


大統領や各国の首脳と話をしながらも、オロチは考えがまるでぶれない。
目的がしっかりしている。

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