空の果て星の息吹
ユイは試験を受けるつもりらしい、ユイの話だと、宇宙装機学部は将来の火星再開発計画の開発メンバーとして送られる為に、特に実務体験学習の定員枠は多いらしい。


そういえば、ユイは内情を良く知っていた。
何故、ユイはこんなにも内知ってるのか?


僕は何気なく聞いてみた。

『月夜野さんは、色んな試験の情報やら知識があるけど、どうやって調べるの?事務局とか?』


ユイは一瞬あっけにとられた表情をしてから、にこやかな笑みで答えた。


『前に・・・発射台から朱鷺が上がるのを二人で見た時に・・初恋の相手に会いたいって話したの覚えてるかな?』


覚えている・・・忘れるわけない・・・でも、曖昧に返事をする。


『そういえば・・・言っていたかな?』


コーヒーを飲みながら動揺した気持ちを悟られないように・・


口の中に苦い酸味が広がる・・カフェのコーヒーが今までで一番苦く感じた。


気持ちを見透かしているのかいないのか?
不思議そうな笑顔を浮かべた。


『初恋の相手は幼なじみのお兄ちゃんで・・・この学園を出て今は、院の研究生として・・エデンにいてね・・・お兄ちゃんから・・・色々、試験の雰囲気とか色々アドバイスされていたから』


ユイがその彼の話をするときには、多分本人は意識してないけど、凄く可愛い笑顔になる・・・のだ。


好きなのか・・・


恋愛の初心者マークの僕でもわかるくらいに・・・嬉しそうだ。


『月夜野さんは・・・彼に会うために頑張ってるんだね』


『元々、星や宇宙が好きになったのは、お兄ちゃんのおかげだから・・会ってお礼が言いたいんだ』


『遠野くんの様な素敵な仲間にも知り合えたしね』 

ユイとこんなに近くで話しているのに・・・なんだか遠くに感じてしまう・・ユイの未来は遠く先の成層圏を越えた向こうのエデンを見ているのだから。


その思いには叶わない感じがした。
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