空の果て星の息吹
第六章

遠き空

ロンドンの大規模なテロがあり、また都心のテロから国会で「対テロ特別措置報改定案」が制定され、自衛隊に第六十五式陸上装機(ゲンブ)が配備された。


この学園もテロの標的になる可能性も捨てきれない事から、自衛隊が学園及びシャトル研究棟を含めて常駐する事になった。


対テロ兵器としては、人型の陸上装機が非常に有効であり、効果があった。


事実、アフガニスタンでの対テロ鎮圧に、国連の陸上装機が大量導入され、活躍した映像は衝撃的だった。

戦車より小回りが効いてかつ、汎用性や機動性があるからだ。


田島嘉久はこの陸上装機の開発メーカーであり、宇宙関連の機器を司る、田島重工の御曹司だった。


学園周囲がテロ対策でバタバタしていたが、学園内は比較的穏やかだった。


夏期休暇に補講が多数開かれていて、学生も疎らに居た。


音楽プレイヤーで聴きながら、木陰のベンチで休んでいると、戒音・グーデンベルグが見つけてこちらに手を振りながらやって来た


戒音は身長が180あり、細身で綺麗なブロンドである事から、遠目からも目立つ容姿であり、学園内でもかなり人気がある。


プレイヤーを外して軽く挨拶をすると、戒音なにこやかな笑みで返して、となりに腰をおろした。


『戒音は、この休みにドイツに戻らなかったの?』


戒音は大きな瞳を少しつぶりながら、ゆっくり答えた

『両親は離婚してね・・居場所が無いんだ・・帰ってもさ』


少し寂しげに話す。


『ごめん・・・変な事聞いたね・・・』


『いいよ・・・別に両親が居ないわけではないし、私が帰りにくいだけだから、気にしないで』


綺麗な白肌が太陽の光に透けた様に美しかった。


『今さらだけど、戒音は日本語上手いよね・・流暢だし』


戒音は笑いながら答えた。

『そっか・・ソラは私が昔、日本に住んでいたって話さなかったっけ?私は日本で生まれ、暫らくしてドイツへ渡って、また中学になり日本で学んだの』


戒音は懐かしげに話した。

『だから、日本デビューは長いんだ』



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