空の果て星の息吹

光の示す方向

ユイは、病棟の待合室にいて、映画の特番のチャンネルを見ていた。


まるで捨てられた子猫の様に小さくうずくまる様に、みていた。


『月夜野さん、、遠野です・・・覚えていますか?』

ユイは、知らなかった、まるで他人を見る目であった、あの月夜に見た目と同じく。


知的で物静かな文学的な引用をしたりした女性はそこには居なかった。


それでも、ユイが語っていた希望や夢を、思い出すかもしれない、キーワードに繋がれ場と、知っている事をわかりやすく話す。


初めは、不思議がっていたのだが、徐々に自分は記憶を失ったんだと理解していく。


ユイと話をしはじめて、記憶は失ったままだったけど笑顔を取り戻していった。

『遠野くんは、エデンを目指しているんだね・・・私は遠野くんが知っている、私の記憶の事はしらないけど・・・近くにいてくれたら・・・なんか、私が本当にシャトルを守った気がしてきた』


『もし、月夜野さんが退院出来たら、シャトルを見に行こう・・・』


もしかしたら記憶が甦るかも知れないから・・


ユイはたまに気を失う事もあったから、中々、退院は出来ないのだ。


ここ数年の記憶が失われてる以外は、彼女は普通だからだ。


僕の方は、退院を明日に控えていた。


伯母は喜んでくれたが・・・・僕は少し悲しかった


伯母とも、ユイとも簡単に会えなくなるから。


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