空の果て星の息吹
第九章

醒めない夢

退院の日。


シンと涼子、戒音は心配だからと車で迎えに来てくれた。


天気もこの季節にしては良く、ただ少し肌寒い程度だった。


伯母と退院の事務手続きをしたり、している間に、荷物をシン達が運んでくれていた。


ユイに、退院の日を告げた時、凄く哀しい表情をしたのを思い出す。


手続きが済み、病院を後にする時に、ユイが来てくれた。


ユイは伏し目がちになりながらも


『また、来てくれるかな?』


『もちろん・・・毎日でもくるから・・・』


手をユイの前に差し伸べると、ユイは温かい、柔らかな手で握りかえした。


ユイにシン達を紹介する。ユイ以外は皆、知ってはいるが、初めて会うように、挨拶した。


ユイは不思議な感覚になった様だった、知らない自分を知ってる人が僕以外に居たんだって事に。


ユイと別れ、病院を後にした。


伯母を飛行場に見送りにシンは車を走らせた。


伯母と別れの挨拶をしてから、伯母はユイの事を話した。


『月夜野さんのご両親は、大変忙しい方で、意識が回復するまではいらっしゃつたんだけど、ソラが意識をもどした頃には、もう帰られたんだ。私にユイさんを託されていった、これからはソラがそれを引き継いで欲しい・・それは貴方のいまの仕事・・・』


『うん・・・そうだね』 

僕は強く、頷いた。     

『あとね、私は思うの、醒めない夢が無いように、月夜野さんも、いつかは夢が醒めて、元に必ず戻るから・・・その時に傍に居てあげて・・・』


伯母の言葉に言葉が詰まった・・・


暫らく抱擁をして、伯母は搭乗口へと向かった。





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