空の果て星の息吹

夢で逢えたら

ユイの担当医の西澤先生と話をして、1日だけようやく外出許可をもらった。


ユイが入院してから3ヶ月立つて初めてだった。


『最近は、気を失う事もなく、月夜野さんも、笑うようになったから・・』


『貴男のおかげなのかもしれないわね』


西澤先生は、微笑みながら僕を見た。


ユイにその話をしたら、外に出られるのを知って喜んだ。


ただ、許可をもらったといっても、手放しで喜べるものではなく。


心拍数やら、体温やらを計るセンサーをつけての外出だし、懸念事項もあった。

それは西澤先生の言ったこんな一言だった。


『月夜野さんは、昔の消えてしまった記憶をどうにか取り戻そうと頑張っている、いわば心のリハビリテーション』


『身体に関してなら、アドバイスは出来るけれど、心は見えないから、助けたりは難しい、彼女はああ見えていても、頑張っているんだ』


ユイの事を考えると、胸が張り裂けそうになる。


記憶をもどさなければ・・新しい自分でいけるのかもしれない・・・


無理に僕が戻そうとしているから・・・


負担になっているんじゃないか?


ならば、いっそう・・・



そこで、思考が止まる。




『宇宙に・・一緒にあがろう・・・』



ユイの言葉が聞こえた気がした。 




宇宙に・・・


ユイを連れてかなきゃいけない・・・約束だから
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