ユピテルの神話


男は、ふっと笑いました。


『…はい、確かに受け取りました、っと。これで、お前さんは「永遠」から解放された。時は進むよ。願いが叶って良かったなぁ、この世界の神様?』

「――!?」

何故、知っているのでしょう。
その彼の言葉に、敵意が込められている様な気さえしました。

でも、

僕ハ、神ジャナイ…。


『…でも、この世界の住民はお前さんを「神」だと思ってる。そういう運命さ。』

「……僕…」

声に、出しましたか?

言ってしまえば真実になってしまうから、本当の想いは口にするはずが無いのです。

僕は自分の口を押さえ、彼に視線を送りました。


『…あぁ、すまねぇ。俺には心が読めるんだ。お前さんは、それすら忘れてしまっただろうがな…、ははは。』


僕が、忘れてる…?
僕が持っていたという時計は?

永遠からの、解放?
時が、進む…?


どうして、
彼は笑っているのでしょう。
どうして…
僕に敵意を抱くのでしょう。

いくら考えても、
分かるはずがありません。


「…教えて下さい。僕は……」


何ヲ、シタノ。

ドウシテ、此所二居ルノ。

ドウシテ、
記憶ガ消サレテイルノ。


僕ハ、何…――!?


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