ユピテルの神話


僕は心が読めると言う彼に、想いをぶつけたのです。

突然、彼は怒鳴りました。


『――何故、知りたがるッ!?お前は逃げたくせに!自分で自分の記憶を消したくせに!!』

「――!?」

僕も、僕の腕のロマも、
その彼の剣幕に震え上がったのです。

そして、
必死に理解しようと、僕は彼の言葉を追い掛けました。


僕ガ…
僕ノ記憶ヲ、消シタ…?


「…そんな…、どうして…」

『――どうして!?こっちが聞きてぇな!お前のおかげでこっちは良い迷惑だ。』

「…迷惑…。すみません…」

それで、ずっと怒っていたのだと気付いたのです。


『…お前の「永遠」はもう無い。それでも、自分が何者だったのか…知りたいか?』

「…知りたいです。」


『…知れば、辛い思いをするんだぞ?それでも良いのか…?』

僕は力強く頷いたのです。

彼からは先程までの怒りが消え、反対に僕を心配する様な口調でした。


『…分かった。それも運命か…。記憶を戻そう。この街は、もうお前の前には現れない。残りの人生、達者で暮らせよ。じゃあな、先輩…。』

彼はそう言って、くるりと僕に背を向けました。


「……ぁ…」

僕は一歩下がります。

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