ユピテルの神話
†永遠ヲ失ッタ青年

†永遠を失った青年


雨は、止みました。

涙が渇れた僕の瞳は、何を映すわけでもなく、ただ開いていました。

人が雨に打たれたいのは、
哀しい時です。

人は雨に打たれ、
少し強くなれるのです。


記憶を取り戻した僕。
自分の過ちを…
知ってしまった僕。


…モウ…
認メナイトイケナイ。


心配するエマを自分の体から引き離し、彼女の瞳を見つめました。

綺麗な瞳。
汚い物を知らない、無垢な瞳。

幸いな事に、彼女の背からは羽根が消えていました。


「…ユラ…。何があったのか話してはくれないの?哀しい思いをしたんでしょう?ユラはだから泣いていたんでしょう?」

僕は話しませんでした。
話せませんでした。


「…ねぇ…大丈夫?」

「はい…大丈夫…です…。」


彼女の瞳に、
僕は語りかけます。


貴女ヲ愛シテ、ゴメンナサイ。

…と。

また涙が出てきてしまいそうで、僕は顔を背けました。


「あぁ…すみません、エマ。今日は何だか…疲れてしまいました。一人にして貰えますか…」

「…ぇ、…えぇ。」

エマは僕の申し出に驚きながらも、悲しい瞳で僕の様子を伺っていました。


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