ユピテルの神話


あの日から幾分か年をとった村長ロマが、僕に言いました。


「ついに光が無くなってしまった。再び世界に光を戻してくれ。」

僕は断りました。
しかし、ロマは村を豊かにすると約束した僕を責めました。


「…確かに村の暮らしを豊かにすると約束はしました。以前に比べ、充分に豊かになった。しかし僕の願いは貴殿方には理解して貰えなかったようです。」

「…願い?」

「共存という道を歩んでは貰えなかった。互いの命の尊さを、感じ取っては貰えなかったのです。悲しい事ですね…。」

ロマは僕の言葉を真剣に聞いた上で、首を傾げていました。

ここに至るまで様子を伺い、彼らを放置してしまった僕にも責任はありました。
彼ら村人には、ちゃんと伝えなくては理解して貰えなかったのです。


「これ以上同じ事を繰り返すのであれば、植物たちが可哀想でなりません。彼らは貴殿方の為だけに生きているのではないのです。」

村人たちを照らす為の道具として生きている訳ではない事を。
彼らの生命を「目に見える形」にしただけなのだという事を…

僕は彼らに伝えました。


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