ユピテルの神話
真っ直ぐに僕を見つめる無垢な瞳には、新しい涙が止めどなく溢れてきました。
「……嫌よ、行かないで…ユラ。世界を守る為なんでしょう!?どれだけ…自分を犠牲にするの!?い…や…、私から貴方を奪わないで……」
いつも僕を慰めるのはエマ。
ただ、抱き締めて。
それで僕は安心するから…。
でも、御免なさい。
貴女を慰める術を持っていない僕を、
ドウカ、
嫌イニナッテ下サイ。
「……私、知っているのよ。ふふ…、ユラは優しいもの!そんな事…そんな事しないわよね!?私、知っているもの。貴方は、私を愛してくれている!そんな事、…そうよ、出来ないわ!!」
貴女ヲ…愛シテイマス。
だから、
忘れて欲しい。
「――……出来ます。」
…嘘。
本当ハ、
忘レテ欲シクハナイ。
「…ぅ、…嘘よ。嘘よっ!想いを込めた言葉じゃないもの!!ユラの想いは、そんな言葉を望んでいないものっ!!」
…ドウシテ…?
どうして…
彼女は、いつも僕の心を見抜いてしまうのでしょう。
いつだって、そう。
「…お願いだから!望んでもいない辛い言葉を言わないで、ユラ!!もう、いいじゃない!!」