ユピテルの神話
「…れ…ない…。私、忘れないわよ…、貴方の想いが此処に無くなろうと…」
呆然と、呟く彼女の声。
まるで恨みの込められた哀しい瞳。
僕を恨めばいい。
僕を嫌えばいい。
どうせ、僕は貴女をもう想ってはいないのだから…。
――…本当二…?
「――…っ!…さよなら、僕のエマ。貴女は、僕への愛情を忘れます!その想いは消えます!!」
ホラ…
言エタジャナイカ…
「…ユラの…想いに勝てばいい…。その…真実に…勝てば…」
…ヤメテ…
ヤメテ、僕ハ忘レタノダカラ!
僕は彼女の呟きに、激しく首を振り抵抗しました。
「――その愛情は、これから出逢う誰かに向け、この世界で幸せな人生を歩むでしょう。もう貴女は悲しくはない!」
忘れた…
僕は忘れたのです。
貴女への想いは、あの月に…。
それなのに、
何故…、
「雨」ハ降ルノデショウ…
「――…もう貴女の愛した僕じゃない!!僕は僕でなく、この世界の「神」なのだから…!!」
キット…
コノ雨ハ、
アノ月カラ落チテイル…