ユピテルの神話
彼女のそんな言葉に、
僕は「彼女は僕への想いを忘れた」のだと安堵しました。
しかし、同時に…
無くした物の大きさに気付いてしまったのです。
寂しくて悲しくて、
気付いてしまったのです。
彼女が未だ愛しい、と…。
僕ハ…
全テハ無クシテイナイ。
僕の彼女への想いは、それほどに大きかったのか。
空に浮かべた想いだけでは収まらぬ程に…
僕の心には、
エマへの愛情が少しだけ…
残っていたのです。
「……ねぇ、ユラ。どうして雨が降っているの…?どうして、哀しいの…?」
僕は涙を流してはいません。
「……さぁ、…何故なんでしょう。ふふ…、僕じゃ、ありませんよ…?」
これは、
僕の月から降る、涙。
ドウカ、
コノママ…別レテ下サイ。
貴女の笑顔が、
消えてしまう前に……
貴女が「世界」を、
恨んでしまう前に……