ユピテルの神話
†運命ヲ紡グ言ノ葉
†運命を紡ぐ言の葉
僕には、
時間が迫っていました。
あんなにも…
時が進めば良いと願っていたのに、体に訪れる急速な時の早さに恐ろしさすら感じました。
「…おじいさん、この森で一番空に近い場所に行きたいのです。教えてください…!」
その場所で、
僕は最期を迎えるでしょう。
ざわ…
『…あぁ…あの山じゃ…』
風に吹かれた緑色の光の粒が、それは綺麗に夜空へ流れます。
目で追うと、そこには僕の望み通りの高い山。
アァ…
アソコガ良イ…
世界を一望出来そうで、
尚且つ、
夜空の僕の月たちに近い場所。
一番近くには、
『エマへの愛』――…
「…ユラ、何しに行くの?人があまり足を踏み入れない山よ?」
あどけなく、
彼女は残酷な質問をしました。
「……えぇ、僕の守る世界を眺めに…。それに、未開の山。貴女の瞳を治す薬草が…見つかるかもしれませんからね…?」
――嘘バカリ。
貴女に残すのは、
取り繕った嘘ばかりです。
「…私、この瞳が気に入っているって……。あら?いつか言った…わよね…?」
「……そうでしたか…?」
えぇ、
知っていました。
でも、僕は初めて聞いた振りをしました。