ユピテルの神話



運命の輪が、廻る。

その音は無くても、
目には見えなくても。

強い、強い力で。


運命の輪は、廻る。



『僕』だったものは、

「月」と「大地」に分かれました。




『…あぁあ…。ほら、言わんこっちゃねぇ。だから言ったろ?本当に知りたいのかって。』


それは、
ラディスの名を継ぐ、彼の声。


『…陽の光が届かない、夜の世界か。光から逃げて、こんなに遠くまで来たのになぁ?自分の記憶まで失ったのになぁ?』


僕の意識はどこにあって、
この声はどこから聞こえるのかさえ分かりません。


『…永遠という背負った哀しき運命から逃げた。そして、やっと消える事が叶う前に、またお前さんは「永遠」という形を選んだ。世界の運命を守る為…』


そう…
いくら遠くまで来ようと、運命からは逃げられやしなかったのです。


僕ハ世界ト繋ガリ、
再ビ永遠トナッタノデス。


『…もう疲れたろ?しばらく眠れよ。お前さんの意識は、16個目の月の中で深い眠りにつく…。安心しろ。眠っている間も、月たちは光輝き人々を、彼女を照らし続ける…』


陽の光の無い世界。
光から逃げた僕が、人々を照らす月となるのです。


幸セ…デス。


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