ユピテルの神話


『…大丈夫。運命は繋がったんだ。何も心配するな。後は俺に任せてくれよ、先輩…』


僕はこの世界の、大地と月。

亡きロマの願い通り、
ずっと世界を見守り続ける事が出来るのです。

エマの未来を、見守り続ける事が出来るのです。


『…風になって世界を見て廻りたい。そう言ったな?その願いは、いつか俺が叶えよう…』


…有リ難ウ。


『…50年に、一度。お前さんの心と、彼女への愛情の心が重なる日…。お前さんは、彼女に愛された一人の青年の心を取り戻す。…嬉しくて、踊る心は廻る風となり、この世界を一周廻れるだろう。』


――有リ難ウ。

ソシテ、御免ナサイ。

僕ガ、逃ゲナケレバ…

貴方ガ、僕ト同ジ想イヲセズ済ンダノニ。

哀シイ運命ヲ、
背負ワズ二済ンダノニ…


『…いいんだ。これも、運命ってやつだろう…。俺は、運命を受け入れる為に生まれた…。じゃあな。寂しくなったら、また会いに来るよ、先輩…』


エェ…

僕ハ、ズット此処二居マス。



自分が、眠りにつこうとしているのが分かりました。

穏やかに、
優しく、温かく…

意識が遠退いていくのが、分かりました。


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