ユピテルの神話
†月下二咲クハ白キ花
†月下に咲くは白き花
月夜の晩に 集める光
果てしない楽園へ
私を導くもの
生まれた意味を知る
時空を越えて
失われた
星の記憶を知る
僕が眠りから覚めた時、
聴こえてきたのは、
懐かしい彼女の歌声でした。
彼女はあの崖の上に立ち、僕の心を見つめていました。
…エマ……?
背に七色の羽根を輝かせた彼女の姿は、いつかの亡きロマの様に老いていました。
僕は、幸せに満ちていました。
後ろから温かな光に照らされて、僕の光も強さを増していたのです。
だから、分かりました。
今日は、あの日だと。
50年に一度。
僕が、「風になれる日」だと。
僕が貴女に、
「愛している」
と告げられる日だと…。
二つの光が重なって、
一つの風が生まれました。
僕は、この風。
嬉しくて、嬉しくて。
彼女の周りを吹きました。
――…エマ。エマ、僕ですよ?貴女を愛したユラですよ…――
でも、僕は知っていました。
貴女は、僕への想いを忘れたのだという事を。
僕の風は貴女に吹く一方で、言葉が返る事はないのだと…。
それが、
彼女にとって「幸せ」だという事を…。