ユピテルの神話
「…私、また貴方に会いたいのよ…。願ってしまっても良いかしら…」
――…駄目…――
「この山はね、ユラが最期を過ごした神聖な領域。神域とされて人々は近付かない。この場所は、貴方の恵みで溢れている…。此処で長い時を過ごしてしまった私にも…」
――…え?…――
「…一つ位、想いを言の葉に乗せる事は出来るの。貴方と同じ力…。だから、願っても良い…?」
――…駄目!駄目ですよ?エマ…。自ら人の定めに逆らっては…!哀しい運命を自ら背負うなんて…!永遠なんて…――
ザアァ…
ザワザワ…
どうして、
僕は、風を選んだのでしょう。
僕の言葉は彼女に伝わらない。
止める事が、出来ません。
ザアァ…!!
――…貴女まで…追放される事はない!駄目です、エマ!定めを破っては…――
僕は吹き荒れます。
彼女の周りをぐるぐると廻り、彼女の髪が乱れました。
「…止めているのね?私を…」
彼女は、
そう気付いてくれたのです。
なのに……
「…止めても駄目よ?貴方はあの時、私がどんなに頼んでも止めてくれなかった!!どんなに叫んでも、どんなに涙を流そうとっ!!そんな私を見て、私以上に辛いのは貴方だったのに!!」