ユピテルの神話
「…そして、長い時間を掛けて開いた白い花の蜜は…。貴方の七色の花畑の様に、人々の役に立てるかしら…?」
彼女は、きょとんと首を傾げました。
まるで少女の様に、あどけない表情でした。
――…えぇ、きっと――
彼女の想いは、
本当に真実になってしまうのでしょうか?
「…その蜜は、私が溢した幸せの涙。どんな効果があるのかしら…。皆を幸せに出来たら良いわね…?」
彼女は、
ふふ…と笑っていました。
――…ドウシテ?
この「結末」を、
僕は知らないのです。
エマの弟に育てられた僕。
彼にあの神話を教わりました。
しかし、
エマの「結末」を…
僕は知っていたでしょうか…。
この先は、
世界に語り継がれていなかったのでしょうか。
月が、
分かれてしまう…
「…あら、時間…。ユラ、また50年後に…。私、きっとこの場所で待っているわ…。白い花に姿を変えて…」
――駄目…――
「…その時は。私が花の姿なら…ユラの声が私に届くかしらね…。ふふ…楽しみね?貴方は私に何て言うのかしら。」
――…貴女は大馬鹿者だと罵ります。それでも、愛していると囁いてしまう…――