ユピテルの神話
○エピローグ○

○エピローグ○


ザワ…
『……という話なんじゃよ。』

森の主が僕の話を伝えたのは、妖精の女の子と黒い犬竜の子。


彼女たちは彼の根元に腰掛け、瞳を大きくしたり、時に涙を流してくれながら、真剣に話を聞いてくれたのでした。


「…ユピテルは知らなかったんだね?エウロパの…残された女神の神話を…」

女の子が、涙ながらに彼を見上げました。


ザワ…
『…あぁ。当時は、女神の存在はあまり知られておらんかったからのぅ…』

「ユピテルを育てたエマの弟さんも、エマが女神だなんて、お姉さんが女神だなんて…思ってなかったんだろうね?」

『…そうじゃな?エマにとって、ユラがユラであった様に。姉は、姉だと。家族想いの良い牧師じゃったよ…』


僕は嬉しくて、
彼らの周りをぐるぐると廻りました。


――…そう。時に厳しく、時に優しく。愛情に溢れる素晴らしい父でした。まるで、あのロマの様に…――


「…あたし、エマの残した歌が大好きなんだよ!毎晩のように歌ってるもん!」

ザワ…
『そうじゃな?ユラもエマも、嬉しいじゃろうなぁ?』

森の主は、僕に問い掛けます。
サァァ…と僕が葉を揺らして答えるのです。


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