ユピテルの神話


ワン!
『あと、オリペとエマ!』

森の主は得意気に、
楽しそうに話し出したのです。


ザワ…
『…コンの卵を孵した主であるハルカ。絆が強いじゃろうキース。同じ犬竜同士のオリペ。それから…魔法の力が強いエマやユラには、お前さんの可愛らしい言葉が分かってしまうじゃろうなぁ?』

「…おじぃちゃんは?」

『…ふふ。わしにはコンの言葉は直接は伝わらん。しかしな?風たちには、分かってしまうんじゃぞ?』

『「…風?』」

二人は、
僕たちを見回しました。


ザワ…
『…風たちは、わしに全てを伝えるのが仕事。コンの言葉もな、風を通して「可哀想な」「損な」わしに伝わるんじゃよ…?』

ワン…
『…じぃちゃん、根に持つタイプだな…』

『…はは…。だから聞こえておるって…』

『――…あッ!!ズルイぞッ!風のバカぁ!』

ワンワン!と、犬竜は僕らを見上げて吠えました。
僕らは笑うばかりです。



「…なんか、沢山の秘密を知っちゃった気がするんだけど…。あたしたちに教えて…いいの?皆が知らない事でしょう?」

女の子は心配そうに首を傾げ、森の主に聞きました。


「…うちのパパ、牧師さんなのに。それでも知らない事だよ?」


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