ユピテルの神話


ワン?
『…ほら。パパ、やっぱインチキ牧師だからッ?』

「…コン?怒るよ…?」

『ぁ、ウソ!冗談ッ!イヤッ!』


――…ふふ…。本当に、エマに聞いた通りの良い子たちですね?――

『…おや、聞いたのかい?』

――えぇ。彼女たちと直接話をしたい。――

僕がそう伝えると、森の主は彼女たちを自分の幹に触れる様に導きました。
まるで、
いつかの僕の様に…


ザワ…
『ハルカ…?ユラが、お前さんと話したいそうじゃよ?わしの幹に触れてご覧?声が聞こえるじゃろう…』

「…え…、いいのかな?」

彼女は躊躇いがちに幹に近付き、彼にそっと触れました。


ワン!
『――ズルイッ、ハルカ!俺も!俺も~!!』

彼もまた、可愛らしく「ちょこん」と小さな手を幹に掛けました。


「…ユピテルさん?…は、はじめまして…」

ワン。
『なに緊張してんだッ?』

「だって!神様だよっ!?」


――…ふふ、僕は会うのは二度目ですよ。僕の事もエマと同じ様に「ユラ」と呼んで下さい…――


『…おぉッ!俺たちがエマに会った事知ってんの!?』

――…えぇ。お友達が出来たと、嬉しそうでした。僕が貴女たちに秘密を話したのは、だからなんですよ?――


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