ユピテルの神話
「…ねぇ、ユラ。聞いてもいい?七色に光る異世界から移動してくる街って…、今でも来る…?」
片手を森の主に掛けながら、彼女が遠慮がちに聞きました。
――…えぇ。ふふ…、大切な彼を探したいのですね?――
「…うん!キースは異世界から来たんだって。もしかしたら…、そうなのかな?」
――さぁ、僕にも分かりません。でも、あの街は現れますよ?貴女の想いと運命次第で…きっと…―――
僕の言葉に、
女の子は笑顔を溢しました。
彼女は、きっと…
運命に導かれるでしょう。
ワン!
『…「街」で思い出したんだけどさッ。俺、よく分かんないんだけど!結局さ、ユラって何だったのッ?街に居た男って誰なわけ?』
犬竜が大きく首を傾げながら、僕の話を振り返りました。
「…あー、そう。あたしもよく分かんなかった!ラディスの名を継ぐ者って何?運命を紡ぐ…って、どうゆう事?」
――…ふふ、それは…――
『「――それは…?」』
僕の言葉を待って、
二人の声が重なりました。
――…秘密です。――
『「……えぇぇ~!?』」
――…ふふ、御免なさい。それは、言っては駄目な事なんですよ。――