ユピテルの神話


ある日の事、
皆も寝静まった穏やかな夜。


タスケテ…
…タスケテ、ユラ…


そんな消え入りそうな小さな微かな声で、僕は人知れず目を覚ましました。

「………。」

嫌な予感がしました。
悲しい寂しい、
喪失感がありました。

僕はすぐにロマの家を訪れ、眠たげな彼を起こしました。


「…ロマ、花たちの声が助けを求めています。…嫌な予感が…」

「…何?…花畑が?」

僕の「子供たち」が、
僕に助けを求めていたのです。

その命を脅かす者といえば、人間しかありません。


「一緒に来て貰えますか…?」

「…あぁ、すぐに行こう。」

僕の様子でロマもそれを悟ったようでした。
その足ですぐに村を出て、七色の花畑へと向かいました。

しかし…
予想通り、

もう遅かったのです。


< 23 / 171 >

この作品をシェア

pagetop