ユピテルの神話
ジリジリと込み上げてくる怒りを自分の中に押さえ込もうと、僕は拳を握りました。
胸が焼ける様でした。
「――動くなっ!!これ以上この地を荒らす事は許さないぞ!逃げても無駄だ。お前たちの顔は割れているのだ!…動くな!馬鹿者!命を粗末に扱うな!」
そんなロマの必死の言葉に見向きもしない彼らは、
花たちを踏み潰し…
命を…
――何故、ワカラナイ。
彼ラ二、言葉ハ無駄ナノカ。
自分が…、
自分で無くなる様でした。
「…ユ…ユラ!?」
地面が、揺れていました。
森の木々がガサガサと大きく音をたてる程、それは激しく揺れていました。
僕の怒りは大地に伝わり、
この地全体を大きく揺らしていたのです。
立って居られなくなった彼らが地面の上でよろめき、逃げる足を止めると…
僕は握りしめていた手を、迷わず彼らへと向けました。
「…ふふ、…悪魔ですか…。お望みであれば、そうもなりましょう…」
彼らを宙に浮かせ、触れてもいない首を締め上げます。
「…ぐわっ…何を…」
「助け…て…」
彼らが苦しそうに声をあげると、隣でロマが焦りの表情を見せます。
「…ユラ!どうしたのだ!やめろ、何をしている!?」