ユピテルの神話


「怒り」は大地に…。
そして、
彼らに対しての「憎しみ」が、僕の心を支配していました。


「…何って、見ての通りです。言葉は無駄の様ですから、彼らが花たちにした仕打ちを身をもって体験していただこうかと…」

「――やめろ、ユラ!彼らも話せば分かる!落ち着いてくれ!」

当然、ロマは止めました。
怒りで我を忘れていた僕は、大きな声を出していました。


「――貴方から皆にも話してあったはずでしょう!生命の大切さを!慈しみの心を!昔からずっと言い続けてきても尚!なぜ分からない!……彼らに言葉だけでは通じない!話すだけ無駄です!どうせ心からの理解はされないっ!ですから自分がした事を同じ様に……っ…!」

この後にどんな言葉が出てくるのか、自分で息を飲みました。
我に返ったのです。


「…だから、彼らを同じ様に殺すのか…?ユラ、それでは友人として私が悲しいよ…」


そうロマが流した一粒の涙が地に落ちると、大地から怒りは消えました。


…僕ハ、
何ヲ、考エテイタ…?

ダッテ、
彼ラガ分カッテクレナイカラ。
ダカラ…

……ダカラ…?


サァ…と血の気は引き、頭は真っ白になりました。


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