ユピテルの神話
翌日の事です。
昨夜の事は人々に知れ渡り、僕や花畑を心配する優しい人たちに囲まれていました。
しかし、上手く話す事が出来ませんでした。
「…ユラ、大丈夫かい…?」
優しいロマの問い掛けにも、ただ無表情に首を縦に振るだけです。
僕の想いを込めた言葉は、
「真実」となる…
自分が何を言うのか、
何を言おうとしたのか…
怖かったのです。
「…昨夜の彼ら、そして彼らの村の人々は…、この地を出ていくそうだ…」
「…そう、僕のせいですね…」
「…森の外へ、我々の目の届かない新しい地へ向かう事は前から決めていたそうだ。時期が早まっただけだよ…。いずれ、こうなった事だ…」
「森の外ですか…」
村をぐるっと一周囲む、緑色の光を降らせる森…。
僕が力を放ったその外側は、未だ未開の地です。
光も無い、何が起こるか分からない土地ですから、そんな不安から旅の共にあの花を求めたのでしょう。
「…僕はこの村から去った方が良いのかもしれませんね…」
彼らは自由を求め、僕の力の及ばない場所へ行きたいのでしょう。
僕の事が怖いのでしょう。
「ユラ…何故そうなるのだ…」
「僕の力がこの村の皆は怖くはないのですか?」