ユピテルの神話
僕たちは木々の無い不思議な場所で、その街が現れるまで待つ事にしました。
目の前には茶色の大地。
草木が生える境界に近い地べたに座り込み、待っている間に色々な話をしました。
「…誰もお前さん本人には口にしなかったが、ユラはこの世界を作った神様なんじゃないか…そう思っていたよ。」
「神様…?そんな大層な物ではありませんよ…」
僕は笑いました。
僕が神だというのなら、世界はもっと素晴らしくなっていたはずです。
「…異世界から移動する街なんでしょうか。…僕は、この街から来たのかもしれませんね…。神だなんて…、もしかしたら悪魔なのかもしれない…」
「…ははは、本当はどっちでもいいんだよ。ユラはユラだ。私たちが「神」だと思うなら、ユラはそうなんだよ…」
僕らが出会ってから色々な事がありました。
そんな昔話に花を咲かせ、誰の目も届かない穏やかな時間の中、普段は話さない多くの事を話しました。
1日が経ち、2日目が終わろうとした時、茂みの中でガサガサと何かが動きました。
「…おじいちゃん~?」
可愛らしい女の子の声でした。
「――エマ!?」
茂みを抜け出し、ロマの声を確認すると女の子は顔を輝かせます。