ユピテルの神話
堪らなく、
不安になりました。
堪らなく…
胸が苦しみました。
「…ユラ、これからも村やあの子を見守っていてやってくれ…。今までと何一つ変わらず、優しく…」
「――ロマ…?何を、そんな…改まって、嫌ですよ?」
緑色の光が優しく降り注ぐ深い紺色、そんな穏やかな空気とは裏腹に…
僕の心が、
警告の鐘を鳴らしていました。
大きく、激しく。
「ユラ…今まで有り難う。どうか、私が居なくなっても…これからも変わらずに…」
私ガ居ナクナッテモ…?
「…ぁ…ぁ……」
そう遠くない、これから起こるだろう現実を突き付けられた僕は…何も言葉を返せなくなりました。
力無く口を開いたまま彼を見つめ固まる僕の頭を、ロマは優しく撫でました。
幼い孫を撫でるかの様に、
僕を慰める様に。
しわしわの手で、
くしゃくしゃの笑顔で、
優しく優しく…触れました。
「…出逢いと別れは人の定めだろう。その理は、例えユラでも破っちゃいかん…。」
誰か…、
誰でも良い。
今、この時。
…お願いします。
時間ヲ止メテクダサイ――
しかし、
僕はその願いを…、
決して「言葉」には出しませんでした。