ユピテルの神話
彼らと同じで在りたいと願うにも関わらず、僕自身が彼らと線を引いていたのです。
唯一の…
「喧嘩を出来る相手」だった。
その彼女を失いました。
哀しくて寂しくて、
そんな僕の心に影響を受けたのか、森の光が陰る日もありました。
エマに、
謝りに村へ行こうか…
イイヤ、
コレデ良インダヨ…
ドウセ、マタ…
スグニ独リニナル…
「哀しさ」が重かったので、心から取り出しました。
少しだけ楽になりました。
また空に浮かべてしまおうとも思いましたが、取り出した「哀しさ」に僕は願いました。
「…信頼できる友が欲しいです。僕が生きている限り、共に生きていてくれる…決して僕を置いて去らない絶対の友が…」
僕の言葉は「真実」となる。
初めて自分の為だけに願ってしまったのです。
「哀しさ」は光り出し、
それは胸に抱えられる大きさの「卵」になりました。
この卵から何が生まれるのでしょうか。
僕の心から生まれた卵です。
もしも恐ろしい怪物が産まれたら、どうしたら良いのでしょうか。
その怪物に喰われて命尽きるのも悪くありません。
自分が蒔いた種ですから…
なんだか卵が愛しくて、
片時も離さずに数日が過ぎました。