ユピテルの神話
植物たちの声は小さい。
静かな静かな、
緑色の光が注ぐ森の中で、心地よい彼の声が穏やかに僕に言いました。
『…今日、わしを訪れたのは三人の村人じゃ。』
「三人ですか…」
ワン…
『昨日より多い。何だ?』
犬竜ロマも僕と共に話を聞きます。
情報を共有し僕と共に考えてくれる、本当に心強い子でした。
『…一人は、森の外から。花畑の露を求めてやって来た。』
「何か変わった事を…?」
森の外で暮らす人々は、一切僕と関わりを持とうとはしませんでした。
しかし、定期的に露だけは求めに来ていました。
『…いや、普段通りじゃ。彼らは自分達が過去に犯した教訓から学んでか、わしの指示に大人しく従ってくれとる…』
「そうですか。教訓…、犯した罪……?」
『………。ユラが一度、「怒った」じゃろう…?』
森の主は少し間を置いて、僕の様子を伺いながら言葉を選んで話しました。
「……怒る?僕が彼らに何かしましたか…?」
僕は首を傾げます。
森の主は優しく枝をしならせながら、
『…ユラ、月を見上げてご覧…。月が答えを知っておるよ…』
と言いました。
僕とロマは空を仰ぎました。