ユピテルの神話
『…あぁ、ユラ。家で蓄えていた露を飲んでいたそうじゃ。今日からの分を蓄えに許可を求めて此処へ来たのじゃよ。』
「……飲んでも…尚…?」
僕の顔色が曇りました。
一体、何の病気でしょう。
瞳からの高熱?
彼女を襲っているのは、本当にそれだけなのでしょうか?
――死ヌノデショウカ。
「――おじいさん!彼女の病気の事、もっと何か分かりませんか?詳しく知りたいのですが…!」
焦りが募りました。
ロマとの約束もあります。
それよりも何よりも、
エマは、僕を友達と思ってくれていた優しい子です。
近くには居られません。
しかし、いくら遠くても良いから、居て欲しいと思ったのです。
『…わしも知りたいし助けてやりたいんじゃが…。何せ、自由に動ける身じゃないからのぅ…。人から聞いた話しか…』
「…そうですよね、すみません。焦ってしまって…」
どうしたら良いでしょう。
そう黙り込んでいた矢先でした。
ワンッ!
『ユラ、歩ける。ユラが自分で行けばいい。村に行けばいい。』
「…!?」
ロマがきょとんと僕を見上げて、鳴いたのでした。
ワン。
『ユラ、本当は行きたい。行きたければ会いに行けばいい。』