ユピテルの神話
迷いの森に囲まれた地。
その村のほとんどの住民に、同じ様に羽根が生えてしまいました。
迷いの森の外で暮らす人々。
風の情報をいくら待っても、彼らに変化は訪れませんでした。
変化が訪れたのは、森の内側の住民だけだったのです。
僕と森の主は、一つの可能性に気が付いたのです。
それは、
いつか…
良かれと思って行った行為。
村の畑に、
「僕の力」を分けていました。
作物が沢山育つように、
人々が美味しい作物を食べられるように…大地に恵みを与えていたのです。
少しばかりの些細な、
僕の力が宿る、大地の実。
それを長きに渡り、口にし続けた人々です。
村人たちの体に、力は吸収され、積もり積もって…
今回の様な形で、
表に出たのではないか…
そう答えが出たのでした。
こうして、
「妖精」と「人間」
この世界の人々の種族が、二つに分かれました。
迷いの森を境に、
世界は二つに分かれたのです。
妖精たちが暮らすのは、神からの恩恵を受けた大地。
人間たちは、その地を追放された罪深き者たちなのだ、と…
森の内側の人々によって語り継がれる様になってしまったのでした。