ユピテルの神話
†神ガ愛ス世界

†神が愛す世界


この地は、
平穏を取り戻しました。


迷いの森に囲まれた、
緑色の光が降り注ぐ大地。

人々が全ての生命に優しく笑いかけ、互いが互いを尊重し合う、思いやり溢れる空気。

その空気の中を、風たちが生き生きと爽やかに駆け巡ります。


僕はこの世界が大好きでした。

今なら、亡きロマにさえ胸を張れる様な気がしました。


僕が人々との違いに嘆く事も、以前に比べると少なくなりました。
人々が僕と同じ羽根を背に広げる度、嬉しくなるからです。


哀しみの雨も、
沢山は降りません。

怒りで大地が揺れ、人々を脅かす事もありません。


大好きな世界を守りたいが為に、僕はそうなる前に「僕の心」をいくつも犠牲にしました。


ここ数年で、
紺色の夜空には、沢山の月が増えていました。

全ては…

この世界を、
この素晴らしい世界を守る為。

そして…

大好きな、


愛スル彼女ヲ、守ル為…。


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