ユピテルの神話
しばらくは…
質素ながらも穏やかな日々が続いていたのです。
しかし、それは…
僕が彼らの生活に合わせて暮らし、自分の力をあまり表に出さなかったからに過ぎませんでした。
徐々に…
僕は自分の力を使い始めてしまったのです。
それが間違いだったのか、正しかったのかは、分かりません。
いくら待っても、この世界に日は昇りませんでした。
人々は、
いつでも真っ暗闇の中。
村の中を移動する事すら困難に感じ、それ故に村の外の様子なんて知るはずもないのでした。
「知ろう」とも思っていないのです。
ただ手に届く範囲の周囲の木を切り木材を得て、果実と種を得る。
村を通る小川から水を得る。
日々を暮らす為の食料すら確保が難しい状況だったのですから…。
僕と彼らは、
『瞳』の性質も違いました。
僕の瞳には、例え暗くとも全てが映し出されていたのです。
僕はまず、
彼らの瞳の性質に合わせ、
「光」が必要だと感じました。
植物も生きている。
植物が光を降らせる様に力を放ったのです。
周囲の木々からは柔らかな緑色の光が降り注いでいました。
それは、
「生命」という名の光。
優しく穏やかな光。