ユピテルの神話


「…本当に…?」

これは幻なんじゃないかと、自分の目を疑わずにはいられません。

七色の灯りに照らされて、
夜空の14の月に照らされて。


「…本当に…」

目の前で輝く街に、ただ呆然としていました。


ワン…
『ユラ。…俺、この街、ちょっと知ってる。』

「……ぇ…?」

胸に抱くロマからの突然の告白に、戸惑いを隠せません。


『…俺、ユラの「哀しさ」から生まれた。色々知ってる。だから、この街も、少し知ってる。』

「…それは、どういう事ですか…ロマ…」

僕に、この街の記憶は無いはずです。
初めて見た…はずでした。
しかし…


『分からない。でも、俺が知ってるのは、ユラの心。ユラの、哀しい心の記憶。』

「………。」

それは、
記憶の無い僕の、心の奥底に残っていた哀しみの心。


『ユラが知ってた。だから、俺も知ってる。』

「…そう…なんでしょうね…」


暗い、石造りの建物。
その石が、代わる代わる七色に点滅しては暖かな光を生みます。


僕の背中の、七色の羽根。
僕が作った、七色に光る花畑。


ドウシテ、
七色ダッタノ…?


茶色の四角い大地に、少しの狂いもなく収まった街。


僕ノ、始マリ…


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