生意気な義弟




グラウンドに寄ると空はもういなかったので急いで家まで帰った。



家に入ると電気はついてなくて、空は部屋にいるんだと思った。




緊張しながらも、空の部屋のドアの前に立つ。




ノックするだけなのに、いつもなら簡単にできるのに…手がふるえる。




はぁ、怖い。怖いけど、頑張らなきゃ




ノックしよう!そう意気込みをいれていると




「用事?」




空の声がドアの向こうからした。



「あ…用事って…言うか…」



「なに?」




空の声が冷たくて、怖い。




体がふるえてるのがわかる。だけど逃げたら駄目だ。




「…あの、ね…空、昨日はごめんね」



「いいよ、あれがお前の気持ちだろ」



「違うの!」




違う、違うんだよ。




「今日ね、今日…空が女の子といるの見て…嫌で…辛くて…昨日あんなこと言ったのに矛盾してるよね。」



「……」



「昨日は傷つけて、ごめん。…いい加減でごめんね、」



「……」




声がふるえる、涙が目にたまる。



だけど止まらない、言わなきゃ…私の気持ち




「怖かった、空が変わっちゃうんじゃないかって…弟から急に男になっちゃうの怖くて、でも…」



「……」



「でも…私、気付いたよ。…遅いかもしれないけど…私、空のこと男として…」




嘘だよね…嘘だ。




「……空…」




嘘みたいだよ、抱き締めてくれてる。




空が私を抱き締めてる。




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