俺様VAMP!
オブシディアン
ジロ、と。
でっかい眼でこっちを一瞥してから、ツイッと顎を反らせて。
腰まである長い髪を翻しながら、少女の背が遠ざかっていく。
市原…詩乃、か。
ぼーっとしてそうだったのに。
…割合、いい目をしているな。
…気がつかれたかもな。
ま、どちらでもいいが。
青い血の筋が透ける、真っ白い首の皮膚を舐めた時。
……いい匂いがした。
…血、旨そう………。
ペロリ、と。
舌と口唇に残る感触。
残滓をさらに舐めとった。
何より、あの反抗的な態度。
目に見える虚勢だったけどな。
…しばらくは。
退屈凌ぎに。
「……いい玩具になるかな」