俺様VAMP!



でも。
答えを見つける前に。
一瞬の疑問を打ち砕くように、斎さんの説明は続いた。

「3年はオレと蓮。2年は後で紹介するから。…君と同じく1年の新入りくんは、もう部屋にいるから仲良くね。…同室なんだし」

あ、
…ああ。
ルームメートってヤツだ。

なんだか、すごく緊張するな。

期待と…不安。

気の合う子だと、いいな。



さらに1階に配された食堂や浴室、談話室などを軽く案内してもらう。


やや幅の狭い廊下。
足元には、深紅の絨毯が敷かれている。
壁は濃い茶。
廊下の隅には、小さな卓と花瓶が飾られている。
みずみずしい、花。

…寮というより、別荘みたいだ。

「当たり」

私の少し前を歩く、斎さんが首だけよじって、笑みを深める。

「かつての華族の…別荘を移築したそうだよ」

ぎょっとして、私は口を押さえた。

…あれ、私、今……。
口に出してた……?!

「…皆が思う感想だからね。例年通り」

クスクスと、笑い声がさらに降ってくる。

ちょっと顔を赤らめて、斎さんの背中を見る。

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