俺様VAMP!

初対面のくせに。
あっさり人を掴んで、壁に押し付けて。
私が逃げないように、私を挟むように、両手を壁に付いて。

さっきから、ニヤニヤ、笑っている。


「で?どこから見てたんだ?」


低い声。
妖艶に。


ゾワ、と背筋に何かが這い上がってくる。

でも、それに気がつかれないように、虚勢を張った。

「……何も見てません!!さっきからそう何回も言ってるのに!!」

内心冷や汗だらけ。
でも表面情は毅然と声を張る。

男は軽く片眉を吊り上げて、さらに婉然と笑う。

「嘘付け。バッチリ覗いてただろ」

「……だって!女の人の…呻き声がしたから!」

「ほらみろ。覗いてたじゃないか。ま、…あれは呻き声じゃなくて、喘ぎ声だけどな」

クツクツと。
耳元で、笑う。

幾度も、吐息が耳朶をくすぐる。

…背筋のゾワゾワが、全然止まらない。

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