俺様VAMP!


バシャバシャと勢いよく洗面所で顔を洗って、それから新品の制服に袖を通す。

淡いグレーのブレザー。深緑のタイに、チェックのスカート。

……かわいい制服だなって、ずっと思っていた。
それが着られて、ちょっとだけうれしい。

…ようやく、少しだけ頬が緩んだ。


そのとき。
トントン、と、ドアから遠慮がちなノックが響いた。
反射的に心臓が汗をかく。
声を殺してそっとドアに忍び寄った。

……誰だろう。
……また、……蓮かな…。

盛大な躊躇いのあと、ドアノブに手をかけようとした瞬間。
明るい声が届いた。

「詩乃ちゃーん、おはよー、起きてる?」




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