さざ波
強い日差しを遮るための白いカーテンが一気にめくれ、窓から強い風が吹き付ける。
チリンチリーン…
窓にぶら下げている、風鈴の澄んだ音が響く。
ミーンミンミンジジジィー…
蝉の声が、暑さをより一層感じさせる。
うっすらと汗を浮かべる額に張り付いた、細い髪を分ける。
解答欄は既に埋め終わっていて、チャイムが鳴るのを待っていた。
時計を見る。
あと、5分。
置いていたシャーペンを手にとって、問題用紙の隅に絵を描いてみる。
猫を描こう。
家の近くを彷徨いている、無愛想な猫。
目は細く、
顔は丸い。
髭が長くて、
まるでチェシャ猫。
キーンコーン…
大きなチャイムの音が、スピーカーから流れる。
それと同時に、シャーペンを動かす音が止んだ。