ビターチョコレート【被害妄想彼氏 番外編】
「千代子は……
今、いい人はいるのかね?」
食事を終えたお父様は、そう聞いてきた。
「あ……はい。
お慕いしている人がいます。」
私がそう言うと、
お父様は少し驚いた表情をしたが、
その後少し微笑んだ。
「ほほぅ。
どんな人だ?」
「Sな人です!!」
そう発言した途端、
お父様の表情が固まった。
「え、Sとは…
あの、SMの…Sの方かね?」
お父様の表情が壊れていく。
「はい!!」
私はとびきりの笑顔で答える。
だって私は、
あの人を好きな気持ちに嘘はつけないもの。
お父様はフラフラと、会社へと向かった。
「どうしたのかしら。
お父様。具合でも悪くしたのかしら…」
後ろにいたお手伝いさんが、
気の毒そうにお父様を見ていた。