打算的な彼女とサブカル彼氏

浅野くんに対しての考察1

浅野くんと映画を見に行く当日が来た――


天気は快晴、春らしく空は一面の青空


昨日から色々とこの日に備えて準備した。


いわゆる初デートになる訳で浅野くんの会話に対する、想定解答ノートを作ったのだった。


例えば――
浅野くんが好きそうな音楽とか、お笑いとか、、を調べていたのだ。


後は化粧も普段よりも時間をかけてみたつもりだ。
ナチュラルに――


浅野くんは、カジュアル系で学校のイメージから、チノパンに柄シャツにジャケットだと想定する。


派手な色では無く落ち着いた感じ――
どちらかと言うとブラウン系か黒ではないかな?


それに合わせて、目立ち過ぎない感じにまとめて、淡い緑のワンピースにしてみた。


鏡の前に立ち、何度も笑顔を作る――


ここは正念場なのかもしれない、私のこれからを左右するかもしれないであいだから――


アメリカの某有名アーティストは右斜めの角度からね顔が本人の好きらしく、ジャケット撮影やピーブイはもちろん、インタビューすらもその角度かららしい。


浅野くんとの約束までまだ大分余裕がある――


私は家を出てゆっくりと京浜急行沿線を見送りながら歩いた。


ワクワクする気持ちは久しぶりだ――
もちろん、ワクワクだけでは無く不安も無いわけではないが――


浅野くんが私のことを好きなのは多分――本当だから妄想の天秤は、もはやびくともしない――


大丈夫――


言い聞かせながら、ゆっくりと坂道をくだった。


駅のロータリーは日曜日の昼間なので、少し賑わっていた。


駅のシンボルである音符を形どった銅像の通称音符くんの前のベンチに座った。

空を見上げるとどこまでも綺麗な青空が広がっている――


『由衣ちゃん―――』


遠くから走ってくる影が見えた―――


しかし――その姿に唖然とした。
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