打算的な彼女とサブカル彼氏
『おはよ、由衣ちゃん』  
いつの間にか寝ていて、浅野くんの肩に頭をつけて寝ていたのだ――

何たる不覚なのか――

『あっ、、浅野くんっ!!ごめん、、』

私はよだれが付いていないか口元を拭く仕草をしながら、急に立ち上がると、身体の方が起きてないのかバランスを崩して転んだ。

浅野くんは、あの時の優しい笑顔で、転んだ私に手を差し伸べた――

『由衣ちゃんはおっちょこちょいだな、、ほら、掴まって』

浅野くんの手は柔らかく暖かかった。

『ごめんね、由衣ちゃんゼミだったから待っていたら寝ちゃつて、起きたら寝てたから、逆に待ってたんだ、、メール来なかったからなんか失礼な事したかな?』

こういうときって、思考より先に口が動く――
まるで、パブロフの犬みたく、条件反射――

『いいぇ、、そんな事ないけど―――』

良かった、、浅野くんは笑顔で答えて、一緒に帰ろうって事になった。

何気ない話をしながら、確実にココロをとらえた――

夕日に照らされた横顔――携帯の待ち受けにしたいくらいだ

何だこの気持ち?

これが、いわゆる恋??

私の鉄壁のココロに入り込む、浅野くんは、緑ジャケットの大泥棒さんの様に手際がよい――

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